第83章

天川おじいさんは佐藤玲奈をぼんやりと見つめていた。かつては穏やかで優しい少女だった彼女の目に、今は機知と狡猾さが宿っていた。

「両家の協力?」

それは天川おじいさんが考えもしなかった道だった。

「はい」佐藤玲奈はフルーツティーを一杯注ぎ、天川おじいさんに差し出しながら言った。

「天川おじいさま、天川家は輸出入貿易をされていると聞いています。堀田知也さんの下にも輸出入に関わる事業がありますから、もし両家が協力すれば、必ずwin-winの関係になるはずです」

「おじいさまが天川さんに伺ってみてください。協力の意向があるかどうか。私と堀田知也はここにあと一週間滞在する予定ですから、天川さ...

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