第6章

沙良視点

家に帰ると、私と父は激しい口論になった。

「この婚約を破棄することなど許さん!」書斎で父が怒鳴った。「会社は危機的状況なのだ。白石家の支援がなければ!」

「でも、その元凶は白石朗よ! 彼はこの危機を利用して、うちの会社を乗っ取ろうとしているの!」

「証拠だと? 写真が数枚あるだけで何が証明できるというのだ」父は馬鹿にしたように手を振った。「沙良、お前にはまだ複雑なビジネスの世界は分からん」

「子供じゃないわ!」私は完全に冷静さを失った。「お父様は、彼が本当はどんな人間なのか、何も分かってない!」

「もういい! 結婚式は来月だ! これは決定事項だ!」

私は父を燃える...

ログインして続きを読む