第6章 身分の暴露

箱根は、秋の深まりとともに、燃え盛る炎のように山々を染め上げていた。

「今回の旅行は両家の提携にとって重要な意味を持つ。お前が欠席することは許されん」

父は手にした湯呑みを置き、その口調には有無を言わせぬ響きがあった。私は和室の畳に正座したまま、複雑な思いに胸を締めつけられる。あの夜、凛太郎が自分もまた転生者だと打ち明けて以来、どう向き合えばいいのか答えを見つけられずにいた。そんな矢先に突然決まった温泉旅行は、私を不安の淵に突き落とすには十分だった。

「お父様、最近は仕事が立て込んでおりまして……」

私はありきたりな口実を並べ、なんとかこの場を逃れようと試みる。

「どれほど忙...

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