第6章

 尊はベッドの端に腰を下ろし、異様なほど腫れ上がった私の指に、真新しい真っ白なガーゼを幾重にも巻きつけていた。

 彼は顔を上げることなく、低い声で言った。

「複数箇所の粉砕骨折だ。ドアに挟んだなんて怪我じゃない。」

「彰よ」と、もぬけの殻のような自分の掠れた声が聞こえた。

「彼は私を憎んでいるから。」

 尊の顎の筋肉が微かに強張った。その瞳に氷のような殺意が閃いたが、私の手首を握る力は微塵も強くならなかった。

「妻に苦痛を与えるなど、弱い男のすることだ。」

「泣くな。」彼の少し荒れた親指の腹が、私の目尻を優しく拭った。その時初めて、自分が泣いていることに気がついた。

「失われ...

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