第112章私たちのアルファがやってきた

ライラ視点

シャドウメア渓谷で真紅のナイトシェードを探していると、骨の髄まで冷気が染み込んできた。夜は完全に更け、私は吸血鬼の領地で無防備に晒されていた。

私より先に、内の狼が危険を察知した。『奴らがいる。匂いがする』

甘く腐ったような匂いに気づくか気づかないかのうちに、岩陰から人影が現れた。罠だ。もちろん、罠だった。セラフィナは、最初から私を帰すつもりなどなかったのだ。

「見ろよ、何を捕まえたと思う!」長い金髪の青白い吸血鬼が前に進み出て、その牙が薄明かりにきらりと光った。「おうちから遠くまで迷い込んじゃった、小さな狼さんだ」

変身する間もなく、首筋に鋭い痛みが突き刺さった。未知の...

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