第123話エリックは私にキスしたい

ライラ視点

「アルファ・ブラックソーン!」

モリソン長老の声が、命令のように野営地の喧騒を切り裂いた。ドリアンの足が止まる。彼はエレナと私を抱える腕に守るように力を込めると、近づいてくるパックの長老の方へと向き直った。

「モリソン長老」ドリアンは短く答えた。

モリソンが歩み寄ってくる。「パック評議会は『プロトコル・セブン』を発動した。危機的状況において、すべての指導者家族は前線拠点に留まらねばならん」

「エレナとナイトフォール医師は一時間以内に発つ予定だ」

「それはもはや不可能だ。戦時規定により、アルファの家族は見える場所に留まることが義務付けられている。戦士たちは、指導者が戦いに...

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