第129章珍しいハーブ

ライラ視点

目の前には『月光治療の古文書』が開かれていた。もう何時間も、その難解なテキストを現代医学の知識と照らし合わせながら研究し、キーランを助けるための何かを探していた。

『慎重になるべきだ』と、私の内の狼が警告した。

その通りだった。この本には現代医学が確立される何世紀も前の治療法が記されており、その中には科学というより魔術に近いものもあった。

控えめなノックの音がテントに響き、私の集中を遮った。「どうぞ」と私は声をかけた。

エレナがテントの隙間から顔を覗かせた。「ママ、今日、キーランに会ってもいい?」

私は本を置き、彼女に微笑みかけた。「もちろんよ、いい子ね。でも、お話しし...

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