第130話ドリアンの傷ついた背中

ドリアン視点

医療テントに近づくにつれ、背中の鞭痕がまだ火のように焼けるように痛んだ。

『価値はあった』と、俺の中の狼が断言した。傷による奴自身の不快感は俺にも伝わってきたが。『彼女のためだ』

テントの入り口の端で足を止め、まだ自分の存在を知らせる気にはなれなかった。開いた幕の隙間から、彼女たちの姿が見えた。ライラはキーランのベッドの横の地面にあぐらをかき、古い医学日誌を読み聞かせている。その声は柔らかい。エレナは彼女の脇に丸くなるように寄り添い、時折質問を挟んではライラを微笑ませていた。

その光景は、俺の胸を真っ直ぐに撃ち抜いた。これこそが、家族のあるべき姿だ。目の前にあったものを無...

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