第170話レイジ

ライラ視点

夜の前半は、拷問のような遅さで過ぎていった。腕の中ではエレナが安らかに眠っていたが、私に休息は訪れなかった。洞窟の外で物音がするたびに心臓が跳ね上がり、ドリアンが無事に戻ってきたのではないかと期待してしまう。

マーカスが最初の見張りを引き受けており、歴戦の戦士らしい用心深さで洞窟の入り口近くに陣取っていた。真夜中頃、私はとうとう落ち着かなくなり、彼のそばへと向かった。

「何か連絡は?」岩棚の彼の隣に腰を下ろしながら、私は静かに尋ねた。

「まだ何もない。だが、必ずしも悪い知らせというわけじゃない。こういうのは時間がかかるものだ」

山の冷気がジャケットを通して肌を刺したが、そ...

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