第180話ザ・ポイズン

ジョーイ視点

頭をスレッジハンマーで殴られたような激痛が走った。最後に覚えているのは、医療施設から負傷した兵士たちを避難させていたとき、背後から何か硬いもので強打されたことだ。その後の記憶は、闇と薄れゆく意識の中に溶けてしまっていた。

今、俺は目を覚ました。そして最初に気づいたのは、もう医療施設にはいないということだった。

そこは洞窟のような場所で、粗削りな石壁に取り付けられた松明が揺らめき、辺りを薄暗く照らしていた。

『吸血鬼だ』俺の中の狼が怯えたように鳴いた。『奴らの臭いが充満している。ここは嫌だ』

視界がはっきりしてくると、一人ではないことに気づいた。向かい側の暗闇の中に、人影...

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