第189話絶望的なエリック (1)

エリック視点

戦争は、砂のように俺の指の間からこぼれ落ちていく。

薄暗い吸血鬼の酒場で、俺は震える手でグラスの中の琥珀色の液体が揺れるのを眺めていた。アルコールはもはや、以前のように痛みを麻痺させてはくれなかった。心臓があったはずの場所にぽっかりと空いた虚無を、何ものも埋めることはできなかった。

セレストは死んだ。

周りでは、吸血鬼たちがひそひそ声で撤退について、損失について、そして進撃してくる人狼の軍勢に明け渡そうとしている縄張りについて話していた。反戦感情は野火のように彼らの間に広がっていた。彼らが契約したのは、俺が約束した無敵の兵器、キーランと共に戦うためだ。彼女なしでは、戦いを...

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