第191章ヴァンパイアは平和を求める

ライラ視点

エリックとケインを我々の領地へと連れ戻してきた吸血鬼の護送隊は、まるで葬列のように進んでいた。私は医療用テントの中から、彼らが近づいてくるのを見守った。

彼らが捕らえられた経緯は、カシウスの斥候を通して我々にもたらされていた。エリックはセレステの墓へと必死に逃げ込んだ後、失血と疲労で倒れ、意識を失う直前まで彼女の腐敗した亡骸を抱きしめていたという。夜明けに彼を発見したのは吸血鬼の追跡部隊で、自ら行った切断術により瀕死の状態だった。

今やエリックは、ほとんど見分けがつかないほど変わり果てていた。右手は手首から先がなく、間に合わせの包帯が巻かれているだけだった。その 止血帯は乾...

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