第40章あなたは誰?

ドリアン視点

「彼女がいないと最初に気づいたのはいつだ?」意図したよりも、荒々しい声が出た。

「あんたたちの口論の直後だ。パーティー会場を二度も探した。誰かが言ってた、シルバー湖のほとりで、見知らぬ狼たちに囲まれている彼女を見たと」

その言葉は、物理的な一撃となって俺を打ちのめした。憤怒と自己嫌悪が胸の中で渦巻き、俺の中の狼が殺意をむき出しにして意識を掻きむしる。

「戻る」と俺は言った。「何としても、彼女を見つけ出す」

「シルバームーンの群れに知らせるべきか?」とケイレブが尋ねた。

「いや。まだ群れを騒がせるな。これは俺個人を狙った罠かもしれん。少し前に、奴らのはぐれ狼を何匹か始末...

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