第48章「彼が欲しいですか?」

ドリアン視点

俺は臆病者のようにバスルームから逃げ出した。心臓が肋骨を打ちつけるように激しく鼓動している。彼女の唇の味が、まだ俺の唇に焼き付いているようだった。内なる狼が、この別離に抗議して咆哮を上げる。

「休むんだ」俺はかろうじて抑えた声で言った。「話は明日にしよう」

必要以上に強くドアを閉め、湯気の立ちこめるバスルームにライラを一人残した。薄い壁越しに、彼女の戸惑うような囁きが聞こえてくる。「私、何か間違ったこと言ったかしら?」

すべてだ。俺にあれほど必死の優しさでキスをしながら、ケイリブの名を呼んだことで、彼女はすべてを間違えたのだ。

続く怒りは理不尽で、身を焦がすほどのものだ...

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