第52章「カレブ」はドリアンでした

ライラ視点

ドリアンの大切な書斎を破壊した高揚感は、携帯を取ろうとポケットを探り、そこが空っぽだと気づいた瞬間にはかき消えていた。寝室に置き忘れてきたのだ。

でも、まだ終わったわけじゃない。

厨房へ向かうと、そこでは朝番のスタッフが昼食の準備をしていた。私の乱れた姿を見て、料理長が心配そうに顔を上げた。

「ナイトフォール様、ご気分はよろしいのですか? 顔色が優れませんが」

「伝言を頼みたいの」私は小声で言った。「誰かに連絡を取るのを手伝ってもらえないかしら? 学術研究のことで」

彼女はためらった。「どのようなご伝言でしょうか?」

私は厨房にあった便箋を一枚引き出し、素早く書きつけ...

ログインして続きを読む