第82話さようなら

ライラ視点

ドリアンの残酷な言葉が頭の中で木霊し、未だかつてないほどの激情が血管を駆け巡った。怒りで視界が暗転し、儀式の炎が滲む。内なる狼が、解放しろと叫びながら必死に私の意識を掻きむしっているのがわかった。

もう、抑えきれなかった。内なる狼が主導権を奪い取ろうと暴れ、意思に反して身体が変異を始める。骨が伸び始めたのだ。盲目的な怒りに駆られた私はよろめきながら後ずさり、その腕が、儀式の祭具が並べられた聖なる祭壇を薙ぎ払ってしまった。

凄まじい破壊音が響き渡った。古の銀の聖杯や祝福されたトーテムが地面に散乱し、いくつかはストーンサークルに叩きつけられて粉々に砕け散る。聖なる月の水がそこかし...

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