第98章「十七日のギャップ」

ライラ視点

「ありがとう」ドリアンの執務室での緊迫した対決を後にして、司令部から歩き去りながら、私はエリックに静かに言った。「探しに来てくれて、感謝してる」

エリックは私の腰を庇うように手を添え、自分の車へと導いた。「支えが必要なように見えた。あれは一体何だったんだ?」

「答えの得られなかった質問よ」私は声に苛立ちを滲ませながら答えた。

軍の施設から一マイルも走らないうちに、背後から聞き覚えのある狼の遠吠えが聞こえた。エリックが車を路肩に寄せると、見慣れた灰色の狼が車に向かって跳ねるように近づき、走りながらケイレブの人間の姿へと変わっていく。

「ライラ」ケイレブは全力疾走で少し息を切...

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