第101章 下心がある

宝生尊は足を止めた。顔に浮かべていた笑みが一瞬で固まり、目尻と眉のあいだに、どうにもならない諦めが滲む。

鳳咲夜はその声を聞いた途端、こめかみがぴくりと跳ねた。嫌な予感に背中を押されるまま駆け足で階段を下りる。

案の定だった。

階下のリビング。階段口に立ちはだかる鳳一輝が、今しがた玄関から入ってきた宝生尊を睨みつけている。空気がひりついて、今にも火花が散りそうだ。

「こんばんは」

宝生尊は咳払いして、できるだけ穏やかに切り出した。

「出張が前倒しで終わりまして。咲夜さん、この二日ほどお疲れだろうと思って……雁川市で評判の、養生用の甘いスープを少し」

「甘いスープだと? ふざける...

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