第115章 お願いだ、須藤家を見逃してくれ

そのとき、傍らで交わされるひそひそ声が、風に紛れて鳳美桜の耳へと漂い込んできた。

「ねえ、気づいた? 鳳家の……前はよく表に出てた鳳美桜様、最近ぜんぜん見ないよね」

「だよね。本物の令嬢が戻ってから、急に大人しくなったし。今日来てるの、ちょっと意外」

「意外っていうか、我慢できなかったんじゃない? 鳳咲夜は戻った瞬間に会社を仕切って、勢いもすごいしさ。しかも宝生尊っていう“当たり”まで引いた。で、鳳美桜は……ね。運命って残酷」

「ちょ、声、抑えて! ほら、あそこにいる……。でも正直、前は鳳美桜も美人だと思ってたのに、今日鳳咲夜と並ぶとさ……。品とか、格とか、もう一目でわかる」

「わ...

ログインして続きを読む