第12章 一世の英名は汚せない

鳳咲夜は視線を落とした。脳裏に浮かぶのは、白髪の老人――いつも慈しむように彼女へ微笑んでくれた、あの人の顔。

須藤家の両親は利に敏く、損得で動く。けれど須藤佐治だけは違った。咲夜を本気で可愛がり、人としての筋を教え、陰から守り続けてくれた。

彼女が密かに人脈と事業を育てられたのも、始まりは老当主の黙認と後押しがあったからだ。

「……理由なんてそれだけ。おじいちゃんが、本当に私を大切にしてくれたから」

鳳咲夜は小さく呟き、顔を上げて星野きららを見た。

「きらら、お願いがあるの。手を貸してほしい」

「なに? 言って! あたしら姉妹でしょ、任せて!」

星野きららは胸をどん、と叩く。

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