第140章 なぜまだ隠すのか

彼はすでに病院着を脱ぎ、濃いグレーのシンプルな部屋着に着替えていた。窓辺でほんの少し顎を上げ、外の街のスカイラインを眺めている。

ドアの開く音に、宝生尊がすぐ振り返った。

鳳咲夜の姿を認めた瞬間、彼の瞳がぱっと灯る。

「咲夜!」

尊は足早に近づくと、真っ先に彼女を頭から足先まで丹念に見ていく。里帰りが無事に終わったと確かめて、ようやく肩の力が抜けた。

「どうして来た? 向こうは片づいたのか? 伯父さん伯母さんは――」

矢継ぎ早の問いかけが耳に入らない。

今の咲夜がしたいのは、ただ抱きしめることだけだった。

咲夜は一歩踏み出し、尊の戸惑った視線をよそに両腕を回して腰を抱く。頬を...

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