第百五十一章 私たちはゆっくり進めばいい

「……ただね、咲夜、尊。おばあちゃんにも、あなたたち若い子には若い子の考えがあるってことくらい分かってるわ。もう少し時間をかけて付き合いたい――それ自体は別に悪くないの」

 宝生奈々枝はそこでふっと口調を変え、にこやかな笑みを戻した。

「でもね、ひとつだけ。先にきちんと決めておかなきゃいけないことがあるの。これ以上、先延ばしにはできないわ」

 鳳咲夜と宝生尊の胸が、同時にひやりと冷えた。

 また来た――。

 案の定、宝生奈々枝はそのまま続けた。

「前に尊ったら、まだ分別もなくて、婚約解消なんて馬鹿な真似をしたでしょう? あの件はもう誤解だったって分かってるし、私たちの中では決着も...

ログインして続きを読む