第百六十四章 誰があなたをそそのかしたのか

鳳咲夜は勢いよく上体を起こし、反射的に枕元のスマホへ視線を投げた。

画面はまだ点いたまま。――ビデオ通話が、切れていない。

ただし宝生尊は眠っていた。スマホは脇に置かれ、画面の端に静かな横顔が半分だけ映っている。呼吸も深い。

どうやら子守歌を口ずさんでいるうちに、自分まで寝落ちしたらしい。

胸の奥がふっと柔らかくなる。起こされた苛立ちなど、霧みたいに消えた。

鳳咲夜は彼を起こさぬよう、そっとスマホを手に取ると、指を滑らせて素早く打ち込む。

『下が少し騒がしいみたい。ちょっと見てくる。スマホは置いていくから、あなたはそのまま寝てて』

――送信、の寸前で指が止まる。

一瞬だけ迷っ...

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