第百六十八章 私の心の中では君はもう私の妻だ

鳳咲夜は不意を突かれた。宝生尊の腕の力にぐいと引かれ、上体が前へ傾く。あと少しで、そのまま彼の熱い胸に丸ごと倒れ込んでしまいそうだった。

 唇は、さっき薬を口移しで飲ませたときのまま、ぴたりと重なっている。今はなおさら、隙間ひとつないほど密着していた。

 「ん……」

 小さく喉を鳴らし、咲夜は反射的に彼の脇のベッドへ手をついた。支えにして起き上がろうとする。

 けれど、宝生尊の力は驚くほど強かった。熱に浮かされ、意識も朦朧としているはずなのに、首の後ろへ回された腕はびくとも緩まず、彼女をしっかり抱え込んだままだ。

 彼の吐息は焼けるように熱く、そのすべてが咲夜の頬へかかる。薬の苦い...

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