第17章 後悔しなければいい

だが祖母にそれを言われた瞬間、宝生尊の脳裏には、否応なくリサの清やかな横顔が浮かんだ。冷たく整った顔立ち。ブラックカードを受け取ったときの、淡々としていながら、どこか小狡い光を宿した仕草まで。

宝生尊は、自分でもわずかに驚く。

元来、無関係な人間には興味が薄い。事が済めば、次に顔を合わせても覚えていないことすらある。それなのに彼女の姿だけは、妙にはっきり残っていた。

――祖母を救ったから、だろう。

宝生尊は額に指を当て、乾いた苦笑を漏らす。

「祖母上、それは……孫に身を差し出して恩返しをしろ、ということですか? 恩返しの形はいくらでもある。婚姻である必要はないでしょう」

一度息を...

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