第176章 人を捕まえて連れ戻してくれ

市中心にそびえる高級タワーマンション。その最上階。

床から天井まで届くガラス窓の前に、背の高い男が立っていた。手にした赤ワインを、ゆらり、ゆらりと揺らす。

「オーナー」

頬に凄惨な刀傷を刻んだ男が、気配を殺して入室し、うやうやしく報告した。

「こちらの目、数名……全滅です」

グラスを揺らす手が、ほんのわずかに止まる。

数秒の沈黙ののち、男は喉の奥で低く笑った。

「捕まったなら捕まったでいい。どうでもいい」

グラスを唇へ運び、ひと口だけ含む。

「使える駒なら、いくらでもいる。そもそも、あいつらが何か成し遂げるなんて最初から期待してない」

男の声は、どこか愉しげだった。

「...

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