第179章 あの子はそもそも死んでいないかもしれない

鳳咲夜は小さくうなずいた。

「うん。お父様から少し手がかりをもらって、戻ってすぐ影山陽斗に掘り下げて調べさせたの。まさか、こっちの調査が形になる前に、翠嵐市のほうで事件が起きるなんて」

自嘲気味に笑う。

「今日、お父様が口にしなかったら……うちに、そんな“大姉さん”がいたことすら知らなかった」

鳳一輝は短く息を吐き、脇のソファに腰を下ろした。

二人が言う“大姉さん”とは、すでに亡くなった従伯父の娘――つまり鳳家の従姉にあたる人物だ。

鳳家は一族が大きく、親戚も多い。同世代でも年齢差が大きいのは珍しくない。

名目上は従姉でも、実際の年は鳳宗一郎とそう変わらないらしい。

「聞いた...

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