第18章 今なら出て行っていいか

宝生奈々枝は、結局のところ自分の胸のざわめきを抑えきれなかった。宝生尊が「身を捧げて恩返し」などきっぱり拒んだあとも、孫が会社へ出て公務を片づけている隙を狙い、付き添いの家政婦に命じて瀬戸海斗へ連絡させる。回りくどく探りを入れ、鳳咲夜の連絡先を引き出そうとしたのだ。

「老夫人、それは……さすがに筋が……。リサさん、干渉されるのを嫌がると思いますが」

電話の向こうで、瀬戸海斗は露骨に困っている。

「やだわ、瀬戸先生。安心してちょうだい。ただ命の恩人に、私から直接お礼を言いたいだけ。ぜったいに邪魔なんてしないわ! お願い、教えて? 誰にも言わない。ほんとよ!」

宝生奈々枝は声を柔らかくし...

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