第188章 あの人は井添という姓だ

華香は回りくどいことは言わなかった。

「お金よ。ここを出て、誰にも見つからない場所へ行けるだけの。静かに暮らせるだけの金」

鳳咲夜がわずかに眉を寄せる。

「金だけ?」

「そう、金だけ」

華香は強くうなずき、息を整えるように言葉を継いだ。

「私はいろいろ知ってる。鳳初音さんのことも、彼女の息子――砂本のことも。あの頃、いったい何が起きたのか。誰があの人たちを探していて、誰が全部を揉み消そうとしてるのか……全部、話せる。でも条件がある。私が安全にここを出られるように保証して。それと、先に手付金をちょうだい」

「金は問題じゃない」

鳳咲夜の声は冷たく、迷いがない。

「鳳家は金に困...

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