第十九章 どうしてそんなに節操がないんだ

須藤梨々花はようやく拘束から逃れると、腫れあがった頬を呆然と押さえた。次の瞬間、「わあっ」と子どもみたいに泣き出す。

「江崎拓海! この役立たず!」

甲高い声が廊下に響いた。

「私が殴られてるのを、ただ見てたってわけ!? それでも男!?」

もともと腹に据えかねていた江崎拓海は、その言葉で一気に火がついた。

「鳳咲夜! やりすぎだろ! お前、礼儀ってものがないのか! 今日は俺が、お前をきっちり躾けてやる!」

そう吐き捨てて、踏み込もうとした瞬間――。

鳳咲夜は眉を上げ、薄く笑った。

「江崎拓海。今の言い方ってさ、私を罵ってるの? それとも梨々花を罵ってるの?」

「……は?」

...

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