第196章 彼は竟然あなたに触れるなんて

階下から、ドンッ――と腹の底に響くような轟音がした。続けて、乱れた足音と怒号。

その直後、井添幸哉の手下の悲鳴が重なる。

――誰かが、踏み込んできた。

井添幸哉は呆然とした。

警察が、こんなに早くここを突き止めるはずが――。

だが階下はすでに修羅場だった。サイレンが鳴り響いた瞬間、分厚い鉄扉が外から無理やりこじ開けられる。いや、こじ開けられたのではない。

一台のオフロード車が、体当たりで門ごとぶち破ったのだ。

次いで、宝生尊と槇武一が車から跳び降りる。

その背後から、完全武装の警官隊と黒鷹機関の人員が雪崩れ込んだ。

井添の手下たちは、抵抗する暇すらなかった。次々に組み伏せら...

ログインして続きを読む