第百九十九章 婚約しよう

「咲夜?」

宝生尊ははっと振り向き、ベッドへ駆け戻った。

「どうした? どこか具合が悪いのか? 傷が痛む? 喉、渇いた? い、いま先生を――!」

呼び出しボタンに手を伸ばした、そのとき。

「……だめ」

鳳咲夜が、かすれた声で止めた。

宝生尊の顔は、焦りと動揺でぐしゃぐしゃだった。

その表情を見た瞬間、咲夜の頬がふっと熱を帯びる。

彼女は小さく咳払いをして――不意に言った。

「私たち……婚約しよ」

宝生尊の全身が固まった。

頭の中が、真っ白になる。

緊張しすぎて幻聴でも聞いたのかと、本気で疑った。

「い、いま……なんて? 咲夜、もう一回言って。俺……聞き取れなくて……...

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