第203章 妊娠した可能性はあるか

鳳咲夜は思わず眉をひそめた。

……泣いてるの?

次の瞬間、鳳咲夜は宝生尊がスマホの画面を撫でながら、低い声でつぶやくのを見た。

「父さん、母さん……俺、やっと心から好きだと思える子に出会えた。もうすぐ婚約する。だから安心してくれ……」

胸の奥が、きゅっと痛んだ。

そうだ。どうして忘れていたんだろう。宝生尊の両親は、もういない。

あの宴の夜――宝生尊は、彼女の耐えがたい過去を知って、痛いほど胸を痛めた。そして誓ったのだ。彼女が奪われたもの、手にできなかったものを、全部取り戻してやると。

……じゃあ、彼は?

彼女が実の両親と引き裂かれていたのは二十年。宝生尊だって、少年の頃に父も...

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