第205章 妊娠とはいったいどんな感じか

鳳咲夜はメッセージを開き、検査報告書の「陰性」という二文字に数秒だけ視線を止めた。それからゆっくりと目を下へ滑らせ、報告書の末尾に添えられた備考欄に落とす。

【血液中に微量の特殊金属残留を検出。直近の体内インプラントとの関連が疑われるため、臨床所見と併せて経過観察を推奨】

――妊娠はしていない。

安堵していいはずだった。

このタイミングで、彼女はまだ井添幸哉が残した重い真実を背負っている。先は見えず、心身は擦り切れ、傷も癒えていない。新しい命を迎えるには、あまりにも不向きだ。

理性は告げる。これが最善の結果だ、と。

それなのに――どうしてだろう。胸の奥の奥に、ほんのわずかな寂しさ...

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