第206章 突然発狂する

鳳咲夜は、宝生奈々枝が以前こう言っていたのを覚えている。宝生尊の両親は、仇討ちのような形で殺されたのだと。

けれどまさか、仇が宝生尊の叔父――宝生奈々枝の末の息子、宝生朋治だなんて。

あの事故は、宝生尊の両親が乗っていた車のブレーキ系統が人為的に破壊されていた。そして集まった間接証拠は、ことごとく宝生朋治へと収束していった。

家業の分配に強い不満を抱え、長年、宝生尊の父に押さえつけられてきた鬱屈が憎しみに変わり、ついに惨劇を招いた――そう囁かれている。

事件のあと、宝生朋治は一時行方をくらませた。だが宝生奈々枝が自ら人を動かして連れ戻し、動かぬ証拠を前に、彼女自身の手で息子を刑務所へ...

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