第207章 彼女が敏感すぎたのだ

淡い。けれど鳳咲夜の舌先は、甘みにほとんど覆い隠されたその苦みを、鋭く拾い上げてしまった。

――おかしい。

咲夜は勢いよく顔を上げ、物音に集まってきた厨房の使用人たちを鋭く見渡すと、低く叱りつけるように問いただした。

煮込みを担当した伊室は、咲夜の突然の剣幕にびくりと震え、手にしていたふきんを落とした。口元を引きつらせ、しどろもどろに言う。

「だ、大お嬢様……わ、私が煮込みました……。で、でも、奥様からいただいたレシピ通りに……食材も今朝、倉から受け取ったいちばん新しいものですし、手順も一歩も手を抜いてません……!」

「咲夜、どうしたの? スープに何かあったの?」

鳳琴音も後から...

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