第223章 天にも昇る喜びの出来事

鳳咲夜と宝生尊は、同時に固まった。

視線がぶつかった、その一秒。空気の中に、二人にしか読めない合図が滲む。殺意と、どうしようもなさが混ざった、妙な阿吽の呼吸。

この時間に、取り次ぎもなしにドアを押し開けて――しかも、あんな音を立てられる人間は、鳳家エステート中を探しても一人しかいない。

二人の恋路における、最大で、最も眩しく、そしていちばん自覚のない障害物。

案の定、次の瞬間。

階下から腹の底に響く声が、階段と廊下を貫いて、寝室へ一直線に突っ込んできた。

「咲夜? 咲夜、いるか!?」

鳳一輝の声は、隠しきれない興奮で弾んでいた。道端でとんでもない宝物でも拾ったみたいに、妹に見せ...

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