第235章 本当に何も知らない

鳳咲夜は顔を真っ黒にして、倉光隆雄へ一歩ずつ詰め寄った。

倉光隆雄の顔からは血の気が引き、反射的に一歩、また一歩と後ずさる。次の瞬間、踵を返し、よろめきながら寝室のほうへ逃げ出した。

だが二歩も行かないうちに、鳳咲夜が一気に加速する。矢のように間合いを詰め、左手で肩をがっちり押さえ、右手で手首を逆に捻り上げた。そのまま勢いを利用して、体ごと床へ叩き伏せる。

肩関節に走る激痛。耳障りな鈍い音がして、右腕がありえない角度でだらりと落ちた。冷たいタイルに押しつけられ、片頬が床に貼りつく。痛みで声が裏返り、悲鳴とも呻きともつかない音が漏れた。

「いだっ! な、なにするんだ! 放せ! 何する気...

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