第238章 この鉱山は覚えがある

「調べるな。お前には辿れない」

鳳咲夜はスマホを握る指に、わずかに力を込めた。表示された一行を二秒ほど見つめ、それからゆっくりと視線を上げる。車窓の外――真っ黒に沈む旧市街の路地口へ。

路地の奥には、古びた街灯が一本。風に揺れて、ぼんやりした光の輪がまだらな煉瓦壁にふらふら落ちている。人影は、ない。

――気づかれた。

この件を嗅ぎ回っていることを、誰かが。

こんなに早く短信が飛んできたのは、倉光隆雄のほうから情報が漏れたか。あるいは、旧市街のあの小さなビルに足を踏み入れた瞬間から、こちらの動きをずっと見張っていたか。

相手が誰であれ、焦っているのは確かだ。

これは警告というより...

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