第24章 彼女はいったい何面あるのか

宝生尊の車は猛スピードで走り抜け、城西の廃れた旧工場地帯へ滑り込んだ。

分厚い防音扉を押し開けた瞬間、耳を裂くような喧騒が襲いかかる。

蒼海市の地下で名の知れた拳館のひとつ。客層は玉石混交、空気は荒い。

宝生尊は迷いなく二階へ向かい、観客席の奥にあるVIP個室へ足を運んだ。

階段に足をかけたところで、ひとつの個室から聞き慣れた罵声が飛び込んでくる。

「離せ! 離せってば!」

宝生尊のこめかみに青筋が浮く。躊躇なく、半開きのドアを蹴り破った。

中では、どうしようもない弟――宝生和也が、宝生家のボディガード二人に左右から椅子へ押さえつけられている。

「に、兄貴……なんでここに……...

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