第240章 わざと時間を引き延ばす

「……オーナーは、須藤康光です」

女は唇を震わせ、ようやくその名を吐き出した。

鳳咲夜の瞳孔が、わずかに縮む。

須藤康光。須藤海斗の息子。

――やはり。今回の件は、あの一族の“あの筋”と切っても切れない。

鳳咲夜は重ねて問う。

「須藤海斗は関わってる?」

女は慌てて首を横に振った。

「ち、違います! 絶対に! 須藤海斗は昔から、弟さんのことをいちばん可愛がってたんです。あの頃、当主が弟さんに決まったときも、あの人は自分から身を引いた。後悔なんて一度も口にしてません」

息継ぎも忘れたように、必死で言い募る。

「オーナーにも何度も言ってました。『俺は宝石と芸術で十分だ。今さら...

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