第243章 これは絶対にありえない

須藤貴則はペンを握ったまま、手を宙で止めていた。

なかなか先が紙に落ちない。

喉仏が、ごくりと上下する。

目は目の前のメモ用紙に釘づけで、まるで最後の抵抗でもしているみたいだった。

鳳咲夜はだるそうに一瞥し、淡々と言った。

「言いたくないの? 私が買いかぶってたみたいね。やっぱり国外に戻ったほうがいいって思ってるんだ」

須藤貴則はびくりと震え、勢いよく俯く。ペン先が紙の上を走り、住所を書きつけた。

書き終えると、指がペンを握ったまま、さらに二秒ほど止まる。

何かを決めたように、歪んだ字で一行、付け足した。

――ここまで来た。俺たちも捕まった。追うな。

鳳咲夜はその一行を見...

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