第247章 早く知っていれば来なかった

江崎拓海が案内されたのは、十数平方メートルしかない使用人部屋だった。途端に、顔色がさっと悪くなる。

ドア口に立ったまま、目の前の光景を見下ろす。寝返りを打ったら落ちそうな細いシングルベッド。自宅のウォークインクローゼットの端っこにも及ばない小さなロッカー。壁の上部にある、顔より少し大きい程度の明かり取り窓。

口元がひくひくと引きつり、結局、一言も出てこなかった。

――母さん、何を考えてるんだ。

ロイヤル・クレスト・エステートから惨めに叩き出されたあの日以来、江崎尚里は鳳家という「高い枝」にしがみつくことを諦めていない。

彼女は人を使って鳳家の動きを陰で探らせ、どこかに必ず突破口があ...

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