第250章 この新参者はしっかり取り込まねばならない

江崎拓海は、自分が軽く褒めただけでお嬢様をいい気分にさせられたことに酔っていた。危うく本名が口をついて出そうになる。

唇まで出かかった言葉を、ぎりぎりで捻じ曲げる。吐き出したのは偽名だった。

「俺は仲西清次です」

鳳美桜はその名を口の中で転がすように一度繰り返し、踵を返して湖畔の小道を歩き出した。

「仲西清次……あんた、今までのよりは面白いじゃない」

江崎拓海は慌てて半歩前に出て、ちょうどいい角度の笑みを貼りつける。

「それは相手次第ですよ。鳳美桜様みたいなお方にお供して、黙りこくってたら――鳳美桜様の気分を悪くするだけですから」

鳳美桜は「ふん」と鼻を鳴らした。けれど瞳の奥の...

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