第251章 私はもともと本物のお嬢様です

鳳美桜は水の入ったグラスを握る指に、ぎゅっと力を込めた。

――江崎拓海じゃない。

鳳咲夜の元婚約者。江崎家の、口だけはでかいくせに中身が伴わず、遊び歩いてばかりのどうしようもない坊ちゃん。

なんでここにいるのよ。しかもボディガードのふりまでして。

鳳美桜の目つきが一気に氷点下まで落ちる。唇がわずかに開き、今にも「江崎拓海」と名を呼び捨てにしそうになった、その瞬間――。

江崎拓海も、彼女の表情の変化を敏感に察した。作り笑いが、ぴしりと顔の上で固まる。

――終わった。バレた。

どこで尻尾を出したか考える暇もない。反射的に半歩踏み出し、声を落とした。

「鳳美桜様。俺はここに、あなた...

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