第255章 こいつは腹に一物ある

宝生尊の手元が、ふと止まった。耳の付け根まで赤い。

彼は顔を背け、何でもないふうを装う。

「……君たちのブランド理念に共感した、業界の誰かじゃないか」

鳳咲夜は口元の笑みを深くして、わざとらしく語尾を伸ばした。

「へえ。業界の方、ねえ」

宝生尊は諦めたように笑う。

「どうやら俺の出番はなかったみたいだ。推薦状を送ったら、主催側に言われたよ。『Wブランドの創業者で、謎のデザイン総監督の方が、あなたより先に推薦を出していました』って。……誰だったかな。ルミナス・インターナショナルは実力で勝負する、コネは使わないって、あれだけ胸を張ってたのは」

鳳咲夜は眉をきりっと上げ、堂々と言い返...

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