第267章 お前は大儲けを拾ったぞ

男は株式譲渡契約書を握りしめ、裏返しては表を眺め、何度も何度も確認した。

偽造は見事だった。見た目だけなら、綻びのひとつも見当たらない。

頭の中で、計算が猛スピードで回る。

須藤康光は馬鹿じゃない。鳳家だって、甘く見ていい相手じゃない。この電話をかけた瞬間、自分の逃げ道は完全に塞がれる。

だが、かけないとなれば――目の前の鳳家のお嬢様がどれほど容赦ないか、噂だけでも十分すぎるほど知っていた。須藤伸治の一家四人を、きっちり揃えて刑務所送りにしたという“武勇伝”だけで、何夜も悪夢を見るには足りる。

散々迷った末、男は腹を括った。奥歯を噛みしめて顔を上げ、鳳咲夜に向かって重く頷く。

「...

ログインして続きを読む