第274章 どうやら彼らを狙ったのは正しかった

鳳咲夜は振り返り、涙と鼻水でぐしゃぐしゃになった須藤康光の顔へ、氷みたいな視線を落とした。眉間が、ゆっくりと寄っていく。

江崎卓哉。

知っている。江崎グループの株主で、江崎拓海の叔父――正確には従兄弟の父親にあたる男だ。

影山陽斗に江崎グループの持株構造を洗わせたとき、江崎卓哉の名は江崎拓海の父の次に並んでいた。持株比率は突出していない。だが、江崎グループの盤根錯節の人脈網の中で、こいつは目立たないくせに、どこにでも伸びている暗い糸みたいな存在だった。

――江崎家は、なぜそこまでして須藤家と縁組みしたがった?

表向きは「年長者同士の古い付き合い」だと言っていた。だが、どれほど縁が深...

ログインして続きを読む