第29章 リサさん、君はけっこう喧嘩好きだね

三号ボックスはあっさりと1,000万で落札され、その後すぐに数人が席を立った。たぶん精算に向かったのだろう。

「……ちぇっ、センスなさすぎ」

星野きららが小声で吐き捨てる。

どこのどなたの大金持ちが1,000万も出したのか知らないが、値が釣り上がるほどこちらの取り分も増える。なら、こういう“太っ腹”が多いに越したことはない。

競売はそのまま進み、宝飾品、骨董、希少素材――次々に品が流れていく。

だが、鳳咲夜の眉間の皺だけが深くなっていった。

影山陽斗の情報ははっきりしていた。今日のオークションで筋弛緩パウダーが流れる、と。

なのに、すでに半分以上が終わっても気配すらない。

情...

ログインして続きを読む