第30章 彼女はこれは中毒だ

鳳咲夜は手にしていた薬剤の小瓶を、携帯用の小さなポーチへしまい込む。そこから数歩、前へ。

「宝生さん。奇遇ですね、また会いました」

宝生尊は額に手を当て、苦笑した。

「ほんとにね。俺はオークションに来ただけなんだけど……まさかリサさんもいるとは。リサさんは――」

「ちょっと用事で」

鳳咲夜は表情ひとつ動かさず、さらりと言ってのける。

宝生尊の口元が、またひくりと引きつった。

「……用事?」

用事って、たった一人で屈強な男を五、六人まとめて相手にして、泣きながら『国外へ出て二度と戻りません』と誓わせた、あれのことか。

「そこは重要じゃありません」

鳳咲夜は説明する気がないら...

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